《第6話 九度山での日々》流刑の地でも折れぬ不屈の心 戦を見据え、鍛えた14年間

幸村部

過酷な状況においても
衰えない真田の魂

「真田渕(さなだぶち)と九度山の街」幸村は九度山で蟄居(ちっきょ)しながらも、 監視の目を盗んでは紀の川の岸で馬の訓練を行っていたとか。そのことから、写 真の川を挟んで向こう岸は「真田渕」と呼ばれています。 九度山町九度山地区 問0736(54)2019九度山町役場

「真田渕(さなだぶち)と九度山の街」幸村は九度山で蟄居(ちっきょ)しながらも、監視の目を盗んでは紀の川の岸で馬の訓練を行っていたとか。そのことから、写真の川を挟んで向こう岸は「真田渕」と呼ばれています。
住:九度山町九度山地区 問:0736(54)2019九度山町役場

「それにしても悔しい限りだ。家康こそ、このような目にあわせてやろうと思ったのに―」。関ヶ原の戦いで破れた、石田三成率いる西軍。それにくみしたため、真田昌幸・幸村親子は高野山に追放されることになりました。昌幸は無念のあまり思わず、上のせりふを口にしたそうです。

失意の中、高野山の蓮華定院(れんげじょういん)に配流された2人は、冬の寒さを理由に九度山に移住します。その際、昌幸と幸村は別の屋敷に住むことに。これは刺客に襲われても、2人同時に討たれないようにするためと考えられています。

和歌山城主による監視がある以外は比較的自由な暮らしでしたが、悩みの種となったのは貧しさ。領地を没収されていたので収入が極めて少なく、度々、兄の信之に金子や酒を求める手紙を送っていました。そんな状況下でも知恵を働かせるのが真田家です。2人は「真田紐(さなだひも)」と呼ばれる丈夫な紐を編み、家来に売り歩かせて収入を得ながら、世相を確認させていたともいわれています。

敬愛する父親の死
一層たぎる戦への思い

「高野山 蓮華定院の上段の間」檀家(だんか) として付き合いのあった蓮華定院で一時滞在し た昌幸と幸村。この上段の間で過ごしたといわ れ、今も残されています。

ここが見どころ
「高野山 蓮華定院の上段の間」檀家(だんか)として付き合いのあった蓮華定院で一時滞在した昌幸と幸村。この上段の間で過ごしたといわれ、今も残されています。

さらに昌幸は「近く、必ず徳川と豊臣の戦いが起こる。その時どう攻めるべきか」と策を練り、幸村によく話していたそうです。また、幸村は父の作戦を頭にたたき込みつつ、自身の鍛錬も欠かしませんでした。屋敷を抜ける秘密の穴を用いては監視の目を逃れ川原へ出て、馬や武術の訓練を続けたといわれています。

次の戦では、必ず家康の首を…。そう願い続けたものの、慶長16(1611)年、昌幸は65歳で病気のため亡くなります。強敵家康に大きな痛手を負わせた男の静かな最後でした。父をみとった幸村は諦めずにその時〞を待ち続けました。九度山町の「丹生官省符神社(にゅうかんしょうぶじんじゃ)」には、武運長久を祈る幸村が奉納したといわれる刀が残っているほどです(現在は和歌山県立博物館所蔵)。そして3年が経った慶長19年、遂に彼の元へ豊臣家からの使者がやってくるのです。

今すぐ大阪城へ入城し、ともに徳川と戦ってくれ―と。

※次回の4月25日号では、盛り上がりを見せる現在の九度山町の様子を紹介します

大人リビング

関連キーワード

 

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

おすすめ記事

  1. リビング和歌山2025年10月18日号「ワークスタイル -これからの“働く”を考える- 今日も社会を動かす場所で」
     近年、警備の仕事で女性の活躍が目立つようになり、女性警備員が全体の7・3%を占めるまでに増えてい…
  2. リビング和歌山2025年10月11日号「勝手にリビングノーベル食文化賞」
     各分野で人類に対して多大な貢献をした人物に贈られる「ノーベル賞」。食欲の秋を迎えた今週は、食の道…
  3. リビング和歌山2025年10月4日号「伊太祈曽駅から四季の郷公園まで運行中 トゥクトゥクに乗ってお出かけ」
     ようやく暑さも和らぎ、出かけやすい季節になりました。伊太祈曽駅から四季の郷公園の間を“トゥクトゥ…
  4. リビング和歌山2025年9月27日号「“無理をしない”を合言葉に 仕事も家庭も全力投球」
     9月25日は「主婦休みの日」。家事や仕事に頑張る皆さんに“自分をねぎらってほしい”という思いから…
  5. リビング和歌山2025年9月20日号「あなたのアイドルを探せ!! 【推し活】アニマル総選挙!」
     ジャイアントパンダの帰国から3カ月。新たな“推し”を探すべく「アニマル総選挙!」を開催します。ア…
リビングカルチャー倶楽部
夢いっぱい保育園

お知らせ

  1. 2025/10/16

    2025年10月18日号
  2. 2025/10/9

    2025年10月11日号
  3. 2025/10/2

    2025年10月4日号
  4. 2025/9/25

    2025年9月27日号
  5. 2025/9/18

    2025年9月20日号
一覧

アーカイブ一覧

ページ上部へ戻る