しんどさを抱え込まず素直に弱音を吐こう

パパと最強のバディーを組み
困難を乗り切ろう

 取材に訪れた保育園、職員室に一歩足を踏み入れた途端、T主任の怒号が耳に。「あなたは母親になったんですよ。ちゃんと生活しないと、Nちゃんのためにならないでしょ!」。何度かの取材で知るT主任は、いつも穏やかな印象でした。その人がめずらしく声を荒げて、何か大変なことがあったに違いないと耳をダンボに。やがて受話器を置いたT主任と他の保育士とのやり取りから分かったことは…。Nちゃんのママは18歳の高校生で、シングルマザー。夏休みに生活習慣が乱れてしまい、朝が起きられなくなった。9月に入ってからNちゃんを園に連れて来る時間が徐々に遅くなり、今日はとうとう登園して来ない。連絡もなかったため心配して電話をかけたら、まだ寝ていて…。晩婚化に伴う40代以降の出産の増加が話題になる一方で、若年出産と教育問題や貧困家庭の関係もクローズアップされています。

 「がんばっているんだけどね。遊びたい盛りなのも、もちろん分かる。でもね」と、怒ってしまった後味の悪さからか、思わず漏らしたT主任の言葉と、しきりにうなずく数名の保育士に、Nちゃん母子に寄り添う園の姿勢や保育士の真剣さが見えました。一緒に育ててくださっているのだなあ、Nちゃんは良かったなあと思った瞬間です。

 「土曜は勤務がお休みのはずなのに、土曜も(保育園に)子どもを預けに来る」と非難されたのはもう昔。今は「ママやパパだって自分の時間が必要。自由にショッピングや趣味を楽しんで」と社会が理解を示しています。「子育てがしんどい」と夫婦で抱え込まず、家族はもちろん、保育園(幼稚園)、地域、国に、素直に弱音を吐きましょう。何らかの手段やサポートが見つかるはず。「子どもは社会の宝」なのです。パパと最強のバディーを組み、困難を乗り切って。

 本コラムも今回が最終。すてきなイラストを描いてくれた稲留牧子さんとともに心からお礼を申し上げます。

名前なりきよ ようこ
なりっち
プロフィル絵本編集者として勤務後、渡欧。帰国後フリーに。保育所や小学校で読み聞かせを25年以上続けている。絵本creation(編集プロダクション)代表

子育て・教育

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