いざというとき、自分の身を守る
“護身術”を学ぼう
- 2025/5/29
- フロント特集
夏は夜の外出やイベントが増える時期。不審者や痴漢、通り魔など犯罪も起こりやすくなります。いざというときに役立つ“護身術”の知識や技について、インストラクターの川本博文さんに教えてもらいました。

剣護身術和歌山支部
支部長 川本 博文さん
【プロフィル】
総合護身インストラクター、剣護身術インストラクター。「子どもたちを守れ! 学校プロジェクト」として小学校で出張講座などを行っています。
事件に巻き込まれないために
日頃から命を守る行動を
「護身術とは、決して相手を倒すことが目的ではありません」と話すのは、剣(つるぎ)護身術和歌山支部の支部長・川本博文さん。「剣護身術」(本部=東京)とは、代表の護身術家・ヒーロ黒木さんが武道経験などで得たノウハウを“身を守る技”として伝授しているもの。全国20の支部・同好会で技の習得と普及が進められています。
「剣護身術では『5段階理論』と説明していますが(下)、普段の生活から、犯罪やトラブルに巻き込まれないように意識を高めることが大切」と川本さん。護身術を学ぶにあたって、まずは心構えを持ち(①)、危険を感じる場所には近付かない(②)、怒りに任せた行動で自らトラブルを引き起こさないよう感情をコントロールします(③)。
決して諦めない心で
“負けない戦い”をするのが護身術
「5段階理論の①~③は、トラブルや危険に遭遇する前の段階ですが、剣護身術では、こうした心構えから日常の過ごし方まで、“危険を避ける”護身術としてトータルに指導しています」と話す川本さん。
そして、いざトラブルに巻き込まれた場合は、「まずは相手の動きを制して、暴力を振るわせないようにしたり、危険な動作や行動を止めます(④)。それでもおさまらないときは、最終手段として技を使います(⑤)」と説明。剣護身術では、④から⑤への一連の動きができるようにトレーニングを重ねます。
例えば、上の写真のように、もし「殴られそうになったら(ケース1)」「胸ぐらをつかまれたら(ケース2)」、あなたならどうしますか? 剣護身術の対処の技を川本さんに教えてもらいました(次項参照)。
「こうした技は、日頃からトレーニングをしておかないと、とっさにはうまく使えません。危険を感じたときは、とにかく逃げてください」と川本さんは呼びかけます。
逃げるときのポイントは、“大声を出すこと”だとも。「相手を威嚇(いかく)し、周囲にSОSを求めることにも役立ちます。自分自身の恐怖心を振り払い、気持ちも高まって普段以上の力を発揮できます」とアドバイス。川本さんによる「護身術教室」も次項で紹介しています。身を守る知識と身のこなしを学びませんか。
ケース1
殴られそうになったら
腰を低く、両方の手のひらを相手の目線に
青眼の構え
STEP1
後ろ足を引いて腰を低く構え
両方の手のひらを開いて
相手の目に向けて腕をまっすぐ伸ばす
腰を低くして頭の位置を下げることで、頭部を殴られるリスクを減らします。後ろ足を引くのは、逃げる体勢をとるため。瞬時に動けるよう、腰にしっかり力を入れておきます。
両方の手のひらを相手の目に向けることで、「まぁまぁ」と落ち着かせる動作にも。剣護身術では、この姿勢は「青眼の構え」と呼ばれ、基本的な構えの一つです。
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STEP2
両方の手のひらで相手の顎の下を突き上げる
相手の顎の下に向けて腕をまっすぐに伸ばします。突き上げた後は、手のひらを相手の顎にかぶせるようにします。
相手が後ろにのけぞって体勢を崩したら、その間に、素早く大声を出して助けを求めながら逃げましょう!
ケース2
胸ぐらをつかまれたら
流すように体を横から後ろに引く
体さばき
STEP1
つかまれた手を上から握り
左の手のひらを開いて
相手の顔の前に
例えば、右側からつかまれた場合は、右手で、胸ぐらをつかんだ相手の手を上から握ります。
左の手のひらを開いて、相手の顔の前に出すことで、相手の頭の位置をコントロールできます。胸ぐらをつかんだ手で体を引き寄せようとしても、左手がつっぱり棒のような役目をします。
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STEP2
体の軸をぶらさず
右肩と腰を後ろに引き
左手で相手の顎の下を突く
相手の攻撃を正面から受けずに、体の半身を後ろに引いてかわす「体さばき」という構えの応用。腰に力を入れて、引っぱられても体をもっていかれないように。胸ぐらをつかんだ相手の手が緩んだら、すぐに自分の手を離して逃げましょう。
豆知識
手首をつかまれたら“アイーン”のポーズで外す
手の甲を上に向けて自分の体に寄せると同時に、相手の横側に一歩踏み出し、肘を相手に向けると(“アイーン”のポーズ)、相手の手が外れます。
このときもしっかり腰に力を入れて、相手に体が引っぱられないようにします。
毎日の生活でも取り入れよう
心を落ち着かせる呼吸法
呼吸をすることだけに集中します。深く息を吸い込んで、ゆっくりと息を吐くことで心が落ち着き、おなかを意識することで体幹がしっかりとします。いざというとき、この呼吸法で精神を整え、力を出せるようにするトレーニングにもなります。

背筋を伸ばし、おへその下に手を当て、おなかを意識して鼻から深く息を吸います
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手を当てたおなかを意識したまま、ゆっくりと口から息を吐きます
10回ほど繰り返しましょう
川本さんがアドバイス
持っておきたい護身グッズ
●催涙スプレー
※女性や高齢者が護身用に携帯したり、侵入者などに備えて自宅に置いておくのは構いませんが、男性が持ち歩くと軽犯罪法に触れる場合があるので注意を

店舗販売は少ないですが、ネット通販なら手に入りやすいです。
●LEDペンライト

携帯しやすく、すぐに点灯できて、強い光が出るので夜道を歩くときにおすすめ。
●いざというとき“スマホ”も役立つ!

スマホがさっと取り出せるなら、スマホの角で相手の喉元を突くと有効です。
参加者募集
1日講座
女性やシニアにも必ず役立つ! 防犯護身術教室【初心者向け】
川本さんによる護身術教室がリビングカルチャー倶楽部(くらぶ)に登場! 犯罪事件に巻き込まれないための防犯知識や心構えについて学び、実技へ。呼吸法や基本トレーニングをしてから、さまざまなシチュエーションに応じた護身術の技を川本さんが指導します。
日時 | 6月21日(土) 午後1時半~3時 |
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場所 | リビングカルチャー倶楽部 フォルテ教室(和歌山市本町、フォルテワジマ4階) |
受講料 | 2200円 ※テキスト代500円 |
定員 | 6人(最少開講人員2人) |
申し込み・問い合わせ | 073(421)4411 リビングカルチャー倶楽部 フォルテ教室 日曜、祝日を除く、午前10時~午後6時半 |