世界へ羽ばたく!和歌山のひとさじ
ニッポンの寿司を支える赤酢
- 2026/8/20
- フロント特集

今年5月にスタートしたシリーズ企画「世界へ羽ばたく! 和歌山のひとさじ」。国内だけでなく、海外でも注目される県産の調味料を紹介する第2回は、九重雜賀(紀の川市桃山町元)の「赤酢」、日本の寿司文化を支える、その魅力に迫ります。
江戸前寿司の〝赤シャリ〟
海外ブームを追い風に国内で再注目
国内の人口減少や食生活の変化を背景に、食酢の国内需要が伸び悩む一方、海外の和食ブームでその輸出は拡大。財務省の「貿易統計」によると、輸出額は2021年の約28億円から4年連続で増加、24年には過去最高の約39億円に上りました。
そんな中、和歌山にも海外で市場を拡大している企業があります。紀の川市の「九重雜賀(ここのえさいか)」。私たちの食卓でおなじみの「九重酢」は同社の主力商品の一つですが(写真)、今回紹介するのは、1908年の創業以来120年近くにわたって造り続けている「赤酢」。酒粕(かす)を原料に造られる酢です。

和歌山でおなじみの九重酢
関西ではなじみが薄いですが、関東の江戸前寿司では、赤酢を合わせた〝赤シャリ〟が使われてきました。江戸時代には赤酢は米酢より安価で、江戸前寿司は庶民にも定着。戦後は米酢が一般的になりましたが、江戸前寿司の伝統を残そうと高級寿司店などで赤シャリが受け継がれ、その味が海外へ。海外で寿司人気が高まると、国内でも赤シャリが見直され、高級店を中心に広がりを見せています。
現在、九重雜賀は欧米や南米、中東など多地域にわたる約30カ国と取引。食酢、調味酢の輸出では、ほとんどが〝赤酢〟(雑賀 吟醸赤酢)。輸入業者から現地の飲食店、いわゆる食のプロの手に届けられています。
赤酢の原料は熟成させた酒粕。白い酒粕は熟成させると赤褐色に、これが赤酢の色となります。
世界のさまざまな人に
赤酢のおいしさを届けるために
同社は原料の酒粕を作るために日本酒も製造し、酒米も地元で親戚が中心となって栽培しています。実は、酒蔵に酢の酢酸菌が持ち込まれると日本酒が酢に変わる恐れがあります。そんなリスクを抱えながら同社が日本酒を醸造するのは、「食事に合う日本酒を造りたい」との思いと、赤酢の原料を自らの手で作るため。目の届くところで原料の品質を管理しながら、一貫した酢造りに取り組んでいます。
同社の赤酢は、3年以上熟成させた酒粕を巨大な木桶(おけ)で120日以上発酵・熟成。手間暇を惜しまない伝統的な製法を受け継ぎます。「赤酢はまろやかでうまみがあり、味わいの深さが特徴です」と話す雜賀俊光代表取締役社長。

九重雜賀・代表取締役社長の雜賀俊光さん
海外で和食ブームが広がった2010年代、同社の赤酢も海外に市場を拡大。しかし、2020年の新型コロナにより飲食業界は大打撃。「今後、わが社の商品づくりの姿勢を国内外にどう示していくか考え、SDGsの目標10『人や国の不平等をなくそう』に〝食〟を通じて貢献することを弊社の存在意義としました。『宗教や食文化の垣根を越えて〝おいしい!〟に貢献する』を理念に掲げ、『コーシャ』『ハラール』『ビーガン』の認証を取得しました」と雜賀社長。
「コーシャ」はユダヤ教、「ハラール」はイスラム教の戒律に適合した食品、「ビーガン」は肉や魚、卵などの動物由来原料を使用しない食品を指します。赤酢はコーシャとビーガン認証を取得。ほか海外と取引がある18品目で、それぞれの認証を取得しています。「認証取得により赤酢や和食、お寿司のおいしさを知ってもらう裾野を広げたい」と雜賀社長は話します。

同じ敷地内で日本酒も醸造しています

吟醸赤酢の原料となるのは「雑賀 純米大吟醸 山田錦」の酒粕

高さ2mを超える巨大な木桶で赤酢が醸造されています

今年3月に出来た酒粕(左)と3年熟成させた酒粕

酒粕で造られる「雑賀 吟醸赤酢」
赤酢を食卓に! 手軽な使い方と直伝レシピ
赤酢を毎日の食生活に取り入れてみませんか。九重雜賀・雜賀俊光社長の妻・桂さんに、手軽な使い方やおすすめのレシピを教えてもらいました。残暑を“赤酢パワー”で乗り切りましょう!
桂さんおすすめ

九重雜賀
雜賀桂さん
気軽に「卓上酢」&「ちょいかけ酢」

赤酢はこれだけでもおいしいです。しょうゆ差しに入れて、油を使った料理や味の変化が欲しい時、味つけが物足りない時、調理の仕上げにちょっとかけてみてください。味の輪郭がはっきりして風味も加わり、さっぱりおいしく味が決まります。
また、 肉料理の下ごしらえに使うと、酢酸効果で硬めのお肉が少しやわらかくなります。風味も加わっておいしく調理できますよ。
こんな料理にひとかけ
ギョーザ(つけだれに赤酢だけでも美味)、唐揚げ、フライ、ラーメン、みそ汁、カレーライス、煮魚、煮物、そのほか、ポテトやタマゴ、マカロニなどのマヨネーズを使うサラダなどにも。
自家製 赤酢の「すし酢」

◉作りやすい分量(約3合分)
赤酢100cc、砂糖70g、塩10g
材料を小鍋に入れて火にかけます。砂糖と塩が溶けきればOK。冷ましてから使います。
炊きたてのご飯、1合に40~50ccを切るように混ぜて冷まします
※余ったら、ポテトサラダやマカロニサラダ、煮物、トマト料理などの隠し味にも使えます
どんな料理にも!
便利な万能 「吟醸赤酢の甘酢」

◉作りやすい分量
赤酢200cc、水100cc、砂糖100g、塩5g(小さじ1)
材料を、小鍋に入れて砂糖が溶けきるまで火にかけます。冷めたら、容器に入れて常温で保存を
「吟醸赤酢の甘酢」で作る
酢の物

塩もみキュウリやワカメ、ゆでた青菜、モズクやゆでたタコやイカなど、水気を切って、甘酢をかけて酢の物に。白みそを加えると、酢みそになります
揚げ魚の甘酢あん
1.甘酢あんを作ります。甘酢、ケチャップ、しょうゆを、大体1:1:1で合わせておき、濃すぎる場合は水でのばします。味が足りない場合は、中華だしやコンソメを少々、ニンニクスライスを入れてもおいしいです
2.白身魚の水気を取って、片栗粉をまぶして揚げます
3.1を火にかけ、片栗粉でとろみを付けたら、2を加えて絡ませます
※玉ネギやピーマン、根菜など、炒めた野菜も一緒に絡めると彩りよく仕上がります
アレンジ版
甘酢あんは酢豚、酢鶏、肉団子のあんとしてもアレンジできます。酢豚・酢鶏を作る場合は、肉(豚・鶏)に、お酒、しょうゆ、ごま油で下味をつけておきましょう。
甘酢の照り焼き(鶏モモ肉、豚肉)

1.鶏モモ肉や豚肉は赤酢を少々もみ込んでおきます。フライパンに油をひき、鶏肉の皮目に焼き色が付くくらいに焼きます(豚肉スライスや切り落としの場合は、さっと炒めます)
2.余分な油を取り、甘酢をたっぷり回しかけてふたをして煮ます。火が通ったらふたを取り、汁気がなくなるまで肉に絡めて焼き、煮詰まって茶色くなってきたら焦げないよう弱火に。汁気がなくなってきたら完成です!
赤酢で大人のノンアルカクテル
SAIKA CLASSICAL RED

◉分量
雑賀 吟醸赤酢5ml
グレープジュース40ml
ジンジャービア
(なければジンジャーエール)40ml
氷1個
材料をグラスに入れて軽く混ぜて完成です。氷はたくさん入れずに保冷用の1つで十分です。ショウガの風味がアクセントになった大人向けのカクテルです
雑賀 吟醸赤酢

●1800ml 2700円
●300ml 788円
●150ml 454円
販売場所
和歌山市観光土産品センター(和歌山市一番丁3、和歌山城西の丸広場横・わかやま歴史館1階)
◉九重雜賀
| 電話番号 | 0736(66)3160 |
|---|---|
| 住所 | 紀の川市桃山町元142-1 |
| 営業時間 | 午前8時半~午後5時半 |
| 定休日 | 土・日曜、祝日、年末年始・夏季休業ほか指定休日あり |
| HP | https://kokonoesaika.co.jp/ |
| 公式オンラインショップでも購入できます | https://kokonoesaika.myshopify.com/ |










