災害に備え、自治体と結ぶ防災協定
地域を支える企業の力
- 2026/8/27
- フロント特集

地震や豪雨などの災害はいつ起こるか分かりません。9月は防災月間。今号は、もしものとき支援の幅が広がると期待される企業と自治体が結ぶ「防災協定」について取り上げます。
平常時から協力体制を構築
災害時の支援をスムーズに届ける
「防災協定締結」という言葉をニュースなどで目にしたことは?
防災協定とは、自治体と企業・団体があらかじめ結ぶ〝災害時の支援の約束〟のこと。大規模災害が起こると、自治体だけでは対応が難しい場面もあります。そのため、平常時から民間企業や関係機関が、近隣の自治体と協定を結び、災害時に必要な支援をできるだけスムーズに届けるため、物資の供給や輸送、通信、避難所運営など、協力できる体制を整えています。
しかし、どんな支援が行われ、私たちの暮らしとどう関わるかは、意外と知られていません。今回は、和歌山県内の自治体と協定を結んでいる5事業所を取り上げます。
また、防災は一人一人の備えが欠かせません。備蓄に加え、避難生活を少しでも健康に過ごすための〝体の備え〟もその一つ。エコノミークラス症候群の予防につながる簡単な体操も紹介します。
水と環境の専門性を土台に
飲料水確保の仕組みつくる

倉庫に高く積まれたウオーターボトルを前に説明する本脇社長
ライフラインの寸断で、真っ先に直面するのが「水」問題。命を守るため、成人1人が1日に必要な飲料水は3リットル。それ以外にも、さまざまな場面で水は欠かせません。
水や環境保全を専門とする「サニコン」は2020年、和歌山市と水の供給に関する協定を締結。災害時、12リットル入りのウオーターボトル300本を、避難場所・避難所に指定されている近隣の河西コミュニティセンターに届けます。本脇伸也社長は「通常の取り扱い分とは別に、災害用を備蓄し、ローリングストックでいつでも提供できる体制を整えています」と説明します。
21年の六十谷水管橋の破損・落橋事故の際には、排水を浄化して再利用する水循環システム搭載のトイレを開放するなど、専門性を生かして地域を支えています。

社屋に排水浄化システムの機械を設置
サニコン(本社=和歌山市松江北)
| ウオーターサーバーの設置に関してはこちら | 073(454)3255 |
|---|---|
| HP | https://w-sanicon.com/ |
断水で困るのはトイレのこと
適切に処理するための必需品

避難所生活や自宅のトイレが壊れた場合を考えると、「非常用簡易トイレ」(5016円)は必需
断水した際、衛生的な生活を維持するために必要な非常用簡易トイレと防災用トイレ袋。サンコーはオンラインショップで販売する他、和歌山県と災害時の物資調達などに関する協定を締結、60万回分を備蓄しています。
同社ソリューション部長で〝トイレ診断士2級〟の資格を持つ土井誠司さんは、「1日の排せつが7回として、仮設トイレ設置まで1週間とすれば約50回トイレに行きます。4人家族だと合計約200回分の防災トイレ袋と凝固剤の備蓄が必要。食料や水に比べ、トイレの認識は低いようですが、排せつを我慢すると体調不良を引き起こし、きちんと処理しないと不衛生。簡易トイレの備えは大切なのです」と力説します。
左記の日程で試供品の配布と説明会が開催されるので、トイレの重要性を考えるきっかけに。

自宅のトイレで使える防災用トイレ袋」。凝固剤付きで30回分4224円
試供品配布・説明会(和歌山市)
9月1日(火)7:30~8:30▶南海和歌山市駅前
9月5日(土)10:00~14:00▶カインズ(川辺)
9月6日(日)10:00~▶オークワセントラルシティ和歌山店(小雑賀)、午後(時間未定)からイオンモール和歌山(ふじと台) ※1日は配布だけ、数に限りがあります
サンコー(本社=海南市大野中)
| 電話番号 | 0120(033)502 |
|---|---|
| 商品購入はこちら | 三幸商店(公式オンラインショップ) https://onlineshop.sanko-gp.co.jp/ ※要送料、3980円以上の購入で送料無料 |
被災地支援の経験生かす
カレーうどん250食届ける

能登半島地震で炊き出しを行ったときの様子
そば・うどんを中心に和食専門店を展開する「信濃路」。店舗がある地域を中心に、県内6市町と協定を締結。災害時には、店舗や駐車場で炊き出しを行うほか、避難所の食事支援や弁当・食材の提供、機材の供給などを担います。
同社は阪神・淡路大震災をきっかけに炊き出しを始め、2024年には和歌山市から要請を受け、能登半島地震の被災地でも炊き出しを実施。西平都紀子会長は「阪神・淡路大震災が発生した日に父を亡くし、『人の役に立ちたい』という思いが強くなりました。能登を訪れたのは地震から3カ月後。道路は寸断されたままで、迂回(うかい)しながら約12時間かけて現地へ。カレーうどんとじゃこめし250食を被災者に振る舞いました。今後も支援を続けていきたいです」と語ります。

当時を振り返る西平会長
信濃路(本社=和歌山市松島)
段ボールのベッドや間仕切り
連携自治体を順次拡大中

周囲の間仕切りは プライバシー確保にも
避難所でのエコノミークラス症候群などの健康被害を防ごうと、需要が高まる段ボールベッド。「全国段ボール工業組合連合会が防災委員会を立ち上げ、各エリア、また各社でスムーズに届ける仕組みを整えています」と話すのは、段ボール製品の製造・販売などを手掛ける「オカジ紙業」の常務取締役・大岡正斉さん。同社はベッドや間仕切りなど、段ボール製品の調達に関する協定を、和歌山市や海南市など県内14市町と結んでいます。
ベッドは耐荷量500㌔以上、床面からの高さが35㌢あり、立ち上がりやすく、床面からの粉じん吸入を防ぐ効果も期待されています。
「災害時に必要な場所へ速やかに届けられるよう、今後、各自治体と協定を結び、県内全域へ展開していく方針です」と話しています。

工具を使わずに簡単に組み立てられます
オカジ紙業(本社=和歌山市西浜)
キッチンカー事業者が連携
炊き出し体験で防災を学ぶ

子どもたちが炊き出しを体験
「紀州のしずく」「キッチンキャミー」など、和歌山市内で5軒の飲食店を展開する「タブローカル」。南大阪から新宮市まで約70事業者が登録する「フードトラックバンク」を運営。キッチンカーイベントで築いたネットワークを生かし、道路が寸断されても被災地に近い事業者が駆け付けられる体制を整えています。数年前、和歌山市の大雪で営業を炊き出しに切り替えて温かい食事を振る舞った経験が、防災活動の原点となっています。
近隣の小学生が参加する防災イベントを開き、2024年に300食のカレー、26年に100人分のおむすびと豚汁を地域の人に提供。〝飲食業から始まるまちづくり〟の理念の下、子どもたちにも炊き出しを体験してもらい、地域を支える飲食業の役割や助け合いの大切さを伝えています。

ガスや電気がなくても、食事を提供できるキッチンカー
TABLOCAL(本社=和歌山市十二番丁)
動かない時間を減らそう!
エコノミークラス症候群 予防体操
災害時の避難生活では、長時間同じ姿勢で過ごすことで血流が悪くなり、エコノミークラス症候群のリスクが高まります。できるだけ立って歩いたり、軽く体を動かしたりすることが予防に。座ったままはもちろん、寝た状態でもできる体操を宮原さんに教えてもらいます。水分補給も忘れずに!

理学療法士・宮原崇(そう)さん
宝塚医療大学和歌山保健医療学部准教授、リビングカルチャー倶楽部(くらぶ)フォルテ教室講師
動画を見ながら体操しよう!(動画はこちら)
かかととつま先の上げ下ろし

つま先を床につけ、かかとを上げ下ろします。次に、かかとを床につけ、つま先を上げ下ろします。呼吸を止めず、それぞれ20回を目安にゆっくり繰り返します。
足まるごとグルグル回し

いすに座った状態で片膝を少し上げ、股関節を意識しながら、膝で円を描くようにゆっくり回します。外回し、内回しを左右各10回。その際、足首も一緒に回します。無理のない範囲で、できるだけ大きく動かしましょう。










