土でできたジュエリーのような球体 泥団子に魅了されて

リビング和歌山9月8日号

 子どもの頃、土や砂で泥団子を作ったことはありますか? 手の中で大切に、丁寧に磨くことで光沢が出て、ピカピカと輝きます。泥団子と聞けば、茶色をイメージしがちですが、最近の泥団子はカラフルで、まるでジュエリーのよう。観賞用としても人気が高まっています。

長い年月をかけてできる土に歴史が
土の種類や色でさまざまな表情に

私たちが住んでいる地球の表面は土で覆われています。土は鉱物である岩石と、コケや植物といった有機物が混ざり、長い年月の間に削られるなどして細かな粒になったもの。普段、私たちが目にする土には長い歴史が刻まれているといっても過言ではありません。

土なのに、泥団子はなぜ光って見えるのでしょうか。和歌山県左官技能士会・副会長の原健一さんは「泥団子は、日本に伝わる壁塗りの技法“大津磨き”が用いられていて、石灰を混ぜた土を丁寧に磨き上げることで光沢が生まれてきます。つまり、表面の土(粒子)がきれいに整列し、光を一定方向に反射することで光って見えるのです」と説明します。

土には、鉄や銅、カリウムなど、さまざまな元素が混ざっていて、採れる場所によっては含まれる元素の量はもちろん、色もさまざま。彩色した泥団子は、仕上がりがジュエリーや大理石のようになることから、子どもだけではなく、大人も夢中に。原さんは「土の種類や色の重ね方で多様な表情が生まれます」と、魅力を伝えます。

土に触れる機会が多いとはいえない時代だからこそ、泥団子作りを体験してみませんか。原さんに作り方などを教えてもらいます。

子どもも大人も夢中になれる!
光る泥団子タイトル

まずは土台作り。土に水を入れ、湿らせます。粘土質の土がおすすめです。庭にあるような土を使ってもOK
ハンバーグを作るように土の中の空気を抜き、丸めて球体に。細かい砂をかけながら、ひたすら手のひらで丸め、乾かし
乾いた土は水分を吸うと崩れることがあるので注意。表面を保護するためにも、石灰クリームに細かい砂を混ぜます
砂入りの石灰クリームが、団子に染み込んでいくのを確認しながら、2~3回はけで塗り重ねます
手のひらを使って丸めます。タオルの上で1~2日乾かし、紙やすり(180番)でこすって表面をなめらかにします
ヘラを使って石灰クリームと顔料を少しずつ混ぜ合わせます。顔料が無い場合は絵の具でも可
はけを使って塗ります。4~5回塗り重ね、乾いたら、手のひらやスポンジ、ティッシュペーパーなどでツヤが出るまで磨きます
ツヤが出てきたらベビーパウダー、最後はジャージなど柔らかい布にオリーブオイルを付けて磨きます
手で優しくなでるように磨き上げると輝きが。途中、ひびが入ったり、色がはがれたりしたら、上塗りしましょう


奥深い世界を極める

磨くことで光とツヤが!土の不思議

 土には赤土や黄土などさまざまな種類があり、同じ土でも採れる場所によって色合いが異なります。左官の磨き上げの種類は、土系と石灰系の2種類に大きく分かれます。土系は深みのあるツヤが特徴の“大津磨き”、石灰系は石灰に顔料を混ぜたものを大理石のような表情に磨き上げる“イタリアンスタッコ”などがあります。

乾かし方も工程の中では重要

 タオルの上にのせ、風通しのよい日陰で4~5日間乾かします。ビニールの袋に入れると土中の水分が放出。状態を見ながら袋から取り出し、空気に触れさせて。

石灰クリームって何?

 自然素材として注目されている“しっくい”の原料でもある石灰。空気中の炭酸ガスに反応して硬化します。強いアルカリ性のため、皮膚が荒れることも。肌の弱い人は注意。

便利グッズを紹介

 球体を作るのに、硬い塩化ビニール製のパイプ(水道管用)を使って、形を整えることもあるそうですが、便利グッズを手作り! ペットボトルの上部(凹凸のないもの)を切り取って使うと、球体にしたり、色を塗ったりするのに便利です。ペットボトルをカッターなどで切る際、傾斜をつけることで、へら替わりに。色を塗ることもできます。

うまく作るコツ

 最初の土台作りが大切。手のひらを使って球体になるまで丸め、形を整えましょう。“根気よく、丁寧に”がポイントです。土の中はきれいな層になっています。

カラフルに、色の楽しみ方

 石灰クリームに対する顔料(または絵の具)の量を調節することで、色の濃淡が出ます。同じ色を塗り重ねると、色に深みが出てきます。単色ではなく、数色重ねることで独創的な作品になります。


バリエーション

一輪挿し

一輪挿し。フラスコを組み合わせるなど、自由な発想を楽しんで

泥団子の置き皿

皿状のものはさまざまな用途に。泥団子の置き皿にもなります

原健一さん

原健一さん
原左官工藝・代表、和歌山県左官技能士会・副会長。県内の小学校や高校などでも左官の伝統技術を伝えています

教室

講師 原健一さん
日時 10月13日(土)午後2時~3時
場所 リビングカルチャー倶楽部フォルテ教室(和歌山市本町)
対象 小学生~大人
参加費 大人1000円、子ども600円
定員 10人(応募多数の場合、抽選)※小学校低学年は保護者同伴
参加者には9月30日(日)までに、案内はがきを送付します
持ち物 手拭きタオル、エプロン
※石灰クリームを使うので肌の弱い人には薄手のゴム手袋を用意しています
締め切り 9月26日(水)
申し込み 和歌山リビング新聞社
073(428)0281
(午前9時半~午後6時半※土・日曜、祝日除く)
備考 手順②の土台まで事前に準備しています。作業は石灰クリームを塗るところからです

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