学生たちがロケット打ち上げ 夢をのせて 空高く

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和歌山市のコスモパーク加太で、和歌山大学が学生によるロケット打ち上げ実験を行っています。3月27日〜29日には、他大学の学生も集まり、合計12機のロケットを打ち上げる「加太宇宙イベント」が開催されます。

5大学と高校生チームの12機
学生が運営する打ち上げ実験

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全長約1メートル50センチ、機体は塩化ビニール製で先端と尾翼はプラスティック、中にはパラシュートを仕込む―。「これが私たちが打ち上げるハイブリッドロケットです」と、和歌山大学2回生の島野侑加さん。学生たちが組織する「和歌山大学宇宙開発プロジェクト(WSP)」に所属しています。

ハイブリッドロケットは、亜酸化窒素や酸素などの液体の酸化剤と、プラスチックなどの固体のものを組み合わせて燃料とし、酸化剤と固体燃料が反応すると燃焼し、ガスを噴射して上空へと打ち上がる仕組み。火薬を使わないので比較的安全性が高く、学生のロケット実験などによく用いられています。

3月27日(金)〜29日(日)には、こうしたハイブリッドロケットなどを打ち上げる「加太宇宙イベント」が、和歌山市のコスモパーク加太(地図右)で行われます。

イベントには、和歌山大学のWSPに加え、高知工科大学、徳島大学、大阪府立大学、立命館大学の学生グループが集結。独自に製作したロケットの打ち上げ実験を共同で実施。和歌山大学の「ロケットガール&ボーイ養成講座(ロケガ)」で学んだ高校生チームや、京都市の洛陽工業高校も参加し、3日間で総勢12機を打ち上げ予定。一般見学も受け入れ、現地では来場者向けの催しも。ロケットで盛り上がる3日間となります。

打ち上げ実験は一般公開!
宇宙に近い加太を体験

大学生や高校生が
実践でマネジメントを学ぶ

調達した材料をチェックします

調達した材料をチェックします

学生たちの活動をサポートするのは、同大学の宇宙教育研究所(所長=秋山演亮教授)。実社会で必要なプロジェクトマネジメントを学生たちが実践して身につける機会として、宇宙を素材とした活動に取り組んでいます。「ロケットを作って打ち上げるには知識や技術が必要ですが、それだけではダメで、チームで役割を分担し、いつまでに誰が何をやれば目標に到達できるのか、チームの運営と個人のマネジメントが必要。ロケットの打ち上げ実験は、やりがいや達成感が大きいので、マネジメントの実践に格好の教材です」と秋山教授。

ハイブリッドエンジンの燃焼実験。手順を確認しながら進めます

20150314top04 ハイブリッドエンジンの燃焼実験。手順を確認しながら進めます

ロケガで学ぶ高校生たちも、ロケットの仕組みや打ち上げの安全管理など最低限の指導を受け、どんなロケットを作るか自分たちで考え、設計図を作り、材料を調達もしてロケットを完成させます。

ロケガ参加が2度目になる日高高校の古川晃嗣くん(高2) は、「まったく何もないゼロからの〝ロケットづくり〞は、難しくもあり、自分たちで工夫できる面白さもあります」との感想。「チームでやり遂げるというやりがいもあります。今年も参加したのは、そんな楽しさをもう一度味わいたかったのと、昨年はロケットがうまく打ち上がらなかったのでリベンジしました」とも。

また、奈良県から講座に参加する森本祐生くん(高2)は、「人見知りなので、最初はなかなか自分の意見も言えなかったのですが、それを乗り越えないとプロジェクトは進まないので、積極的にコミュニケーションを取っていきました。チームワークよく、手順を決めて取り組むことが、大切だということが分かりました」と。

この2人に、和歌山信愛高校の大家彩さん、中谷侑華さん、木下真希さん(すべて高1)が加わり、5人で29日(土)にハイブリッドロケットの打ち上げに挑みます。

目指すは能代!
加太のイベントを恒例にしたい

打ち合わせをするWSPの学生たち

打ち合わせをするWSPの学生たち

加太宇宙イベントでWSPが取り組むのは、ロケット打ち上げだけでなく、すべての実験や催しの実施運営も。WSPが加太宇宙イベントを行うのは今年で3回目。これまで高校生や企業などと行ってきましたが、大学生グループが今年ほど多く集まるのは初めて。打ち上げ回数も過去最高規模になります。

そこで、WSPが立てた目標は〝イベントの知名度を上げること〞。今年は他大学の学生たちとも協力しながら、地元大学としてリーダーショップを取ってイベント準備を進めつつ、「これだけの数のロケットが打ち上がる貴重な機会。多くの人に見てもらいたい」と、一般見学者を歓迎しています。

こうして学生たちがロケットの打ち上げ実験を行えるのは、和歌山市のほか国内では大樹町(北海道)、能代市(秋田県)と伊豆大島(東京都)の3カ所。能代市でも宇宙イベントを例年8月に行っており、昨年は第10回の記念大会で、約3000人の来場者でにぎわったとか。8日間に渡ってロケット打ち上げや自律制御型のロボット競技などが行われ、一般来場者向けイベントで地域を巻き込み、地元行政や企業も盛り上げ役を担います。

「私たちが目指すのは〝能代〞です。加太宇宙イベントを毎年恒例のものにして、もっと定着させ、地域の人たちも楽しめるイベントにしたい」と話すのは、イベントを担当する平尾千紗都さん(3回生)。今年は、見学者が楽しめるような体験イベントを盛り込みました。

能代を目指して、今年は〝加太〞が一歩を踏み出します。皆さんも加太でロケットが打ち上がるのを見学してみませんか。

ハイブリッドロケット モデルロケット打ち上げの見学

27日(金)~29日(土)
午前11時~午後5時(最終日は4時)

午前9時半~ 打ち上げ準備
11時 見学のための会場開放
正午(27日は午後0時半)〜午後5時(最終日は4時) 10機前後ロケットを打ち上げる予定

※雨天決行、強風時は中止になる場合があります。打ち上げは準備などの都合で時間も変更あり。射点の見学もできます(必ず学生の指示に従う)、会場にはトイレがありません

28日(土)、29日(日)一般向けのイベント
自分のロケットを加太で飛ばしてみよう!

加太の打ち上げ会場では、一般向けのイベントも実施されます。学生たちのロケット打ち上げを見学しながら、一般の子どもたちや見学者も打ち上げ気分を味わえる体験。事前に工作をする教室も行われるので、希望者は申し込みを。

現地でA型モデルロケットの製作&打ち上げ

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午後11時から各日先着30人

「A型モデルロケット」を自分で作って打ち上げます。約30cmの小さなロケットですが、火薬を使ってロケットを飛ばす貴重な体験。約100mの上空まで打ち上げることができます。製作費として1人1000円が必要。各日先着30人。

A型モデルロケットについては、事前に工作教室も行われます(下記参照)。

対象 小学3年生以上(小学2年生以下は保護者同伴でOK)
材料費 1本1000円

現地で水ロケットの打ち上げ

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午後11時半から先着30人程度(水がなくなり次第終了)

ペットボトルで作った水ロケットを飛ばしてみよう! マイ水ロケットを持っていけば、発射台が用意されていますので水ロケットを飛ばすことができます。

YAC (日本宇宙少年団)和歌山分団が水ロケットの工作教室を開催。自分で作って、加太で打ち上げよう! 詳しくは下記参照。また、当日会場で貸し出し専用の水ロケットも用意されます

対象 小学生以上
材料費 無料

事前開催!ロケット工作教室

A型モデルロケットを作ろう

3月24日(火)午後2時から

和歌山大学の学生が、A型モデルロケットの作り方を教えてくれます。作ったロケットを持って加太宇宙イベントへ出かけよう!

場所 和歌山大学総合研究棟2階(和歌山市栄谷930)
参加費 1000円 1本製作に複数人でもOK
対象 小学3年生以上(小学2年生以下は保護者同伴でOK)
定員 20人(20本)
申し込み方法 メールで、件名に「加太宇宙イベントA型モデルロケット教室」と記入し、〒住所、氏名、年齢(学年)、学校名、連絡先の電話番号、参加人数と参加する人の名前をメールの本文に入力し、下記の宛先まで
締め切り 締め切り3月20日(金)午後11時59分
※申込者多数の場合は抽選となります
宛先 rocket.wsp@gmail.com

YACの子どもたちと水ロケットを作ろう

3月28日(土)午前10時から

和歌山リビング新聞社が運営する「YAC和歌山分団」の分団員たちが水ロケットの作り方を教えてくれます。作った水ロケットを持って加太宇宙イベントに出かけると、会場で自分で作った水ロケットを飛ばすことができます。

場所 サンケイ寄合橋ビル2階会議室(和歌山市湊本町1ノ23)
参加費 500円(材料は用意します)
持ち物 筆記用具
対象 小学生
定員 25人
申し込み方法 電話で、下記の和歌山リビング新聞社まで
締め切り 3月24日(火)※定員になり次第締め切り
申し込み・問い合わせ 073(428)0281
和歌山リビング新聞社※月~金曜午前10時~午後6時半

加太宇宙イベント

問い合わせ 和歌山大学宇宙教育研究所
電話 073(457)8503
当日の連絡先 rocket.wsp@gmail.com
ホームページ 20150314top07http://www.wakayama-u.ac.jp/ifes/kada/
WSPのツイッターで最新情報が流されています(@wsp_wakayama)



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