考えよう 災害時の備え 被災地での体験、経験を生かして④

福地建築文化財修復大工 福地稔さん

古き良き日本の建築物の構造を実感して

熊野那智大社、ネパールの王宮を修復

〈プロフィル〉文化財建造物木工技能者。県内外の重要文化財、国宝の保存修理工事を手掛けます

高野山の金剛三昧院多宝塔、出雲大社などの国宝、旧中筋家住宅、粉河寺大門といった重要文化財の保存修理工事に携わる堂宮大工の福地稔さん。2011年の紀伊半島大水害で土砂災害に見舞われた熊野那智大社、15年のネパール地震で全壊したハヌマンドカ王宮内のシヴァ寺の復旧にかかわりました。

「那智勝浦町へは、自衛隊が引き上げた後すぐくらいに行ったのですが、熊野那智大社の参道の惨状を見てがく然としました。巨石がゴロゴロ転がっていて…」と当時を振り返ります。

ネパールへは、東京文化財研究所から依頼を受け、震災から1年ほどたって現地へ。「向こうの人々は崩れたら組み立て直せばといいという考えで、崩壊した建物を調査していると何度も壊れた形跡がありました。10日間、がれきをかき分け、材料の仕分けをして戻ってきて、本格的な修復作業はまだまだこれからです。原形に戻るまであと何年もかかるのでは」と指摘します。

福地さんがネパールに渡ったころは、政府の計画停電により、昼間はほぼ電気なしの生活。「復旧用にいろいろ道具を持っていっていたのですが、結果的にすべて手作業となり苦労しました。でも、現地の人々は電気のない生活でも不自由そうではなかったんですよね。日本で災害が起こって、電気、ガス、水道が止まったらパニックになるのに…」と、日本の便利な暮らしの〝代償〞を案じます。

また、堂宮大工として数百年前の建物の構造を見ているからこそ、現代の建築物のもろさを懸念する声も。「何度も手を加えているとしても、古き良き日本の建築物が当時のままの姿で残っているのはどうしてか、一度考えてみてください」と。

堂宮大工・福地稔さんが伝えたい災害時の備え

  • ライフラインがストップしたら…、便利な暮らしの“代償”でパニックにならないよう備蓄を
  • 住まいは心配ですが、地震・火事・水害など危険を感じたらまず逃げる

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