2組の家族に聞いてみました
なぜ、和歌山にUターン?

和歌山県出身で一度は故郷を離れたものの、Uターンして新たな決意とアイデアで事業に取り組む家族がいます。そこから見える地域との関わり方について紹介します。

戻って分かった地元の魅力
人とのつながりが新たな展開に

和歌山市雑賀崎の漁師の家で生まれ育った池田佳祐さん(33歳)。県外でサラリーマンをしていたものの、自らが描く新しい漁師スタイルを実現しようとUターン。さらに漁師業だけでなく、妻の美紀さんと共に、6月下旬には雑賀崎の空き家を改装し、漁村の暮らしが体験できる、雑賀崎の漁家民泊「新七屋(しんちや)」をオープンさせる予定です。

一方、橋本市出身で、現在は和歌山市に暮らす、奥村祥成さん(31歳)。東京でレシピサイトの会社に勤務していましたが、新型コロナウイルスの影響でリモートワークに。もっと手触り感がある仕事をしようと、かつての勤務地・インドネシアで知った「アヤムゴレン(インドネシア風揚げ鶏)」を提供する屋台の運営を思い立ちます。屋台での活動が地域の一助となり、並行して新たに映像制作事業を立ち上げることに。

共に地域と関わりを深めながら新たな活動が始まりました。

柔軟な発想と行動力で、温めた構想を実現

雑賀崎の漁師の暮らしを次世代に
「地域の漁業を元気にしたい」

雑賀崎で漁師の暮らしを次世代につなぐ
池田佳祐さん・美紀さん夫妻

雑賀崎の出身で、大学卒業後は県外でサラリーマンをしていた池田佳祐さん。

帰省中のある日、漁師の父親から、「お前はもう陸(おか)に上がったんやから、家業のことは気にしなくてもいい」と言われたことが逆に自分の人生を見つめ直すきっかけになり、漁師で生計を立てる道を真剣に考え始めます。

「過疎化する和歌山の漁村を再生したい」と池田佳祐さん

かつて漁業で栄えた雑賀崎は過疎化、高齢化が進み、このままではいずれ漁業ができない町になってしまうと危機感を覚えます。

「漁師をやりたい」と父親に話すと、「将来食えなくなるから」と猛反対。そこで漁師が抱える課題を探り、安定した収入を実現するための入念な計画を立て、2年がかりで父親を説得しました。

計画は3つを立案。まずは雑賀崎の魚介を地元や他府県の飲食店へ直接販売するほか、サイトで京阪神や首都圏へ一般向けの通販を開始して新たな販路を拡大。2つ目は空き家や古民家を活用した「漁家民泊」の実現。漁村の暮らしが体験できるメニューや漁業体験も将来的に実施したい考えです。それが6月下旬オープン予定の「新七屋 」。

古民家を改装した「新七屋」では漁村の暮らしが体験できます

採れたての雑賀崎の魚も味わえます

そして3つ目は地域の高齢者の孤食を解決し、住民と宿泊者が交流できる地元食材を使った食堂の計画です。妻の美紀さんが中心となり、来年の開店を目指しています。

池田さん夫婦は「これらは雑賀崎の伝統文化をつなぎ、漁業を元気にしていくための計画です」と話します。古くから続いた文化や伝統を、若い世代が引き継ごうとする新たな試みに注目です。

妻の美紀さんも手掛ける、雑賀崎の食材が味わえる食堂は来年の開店予定

店舗 新七屋(しんちや)
電話 080(8882)7087
住所 和歌山市雑賀崎1546
営業時間 午後4時〜午後8時
Instagram https://www.instagram.com/shinchiya.saikazaki/?hl=ja
備考 ※宿泊料金1泊あたり1人9000円
池田佳祐さんのインタビュー動画はこちらから→(https://youtu.be/wSLOQPTsTN4)

脱サラで「原始的な経済活動」を実践
屋台と映像制作で地域とつながる

インドネシアの屋台料理で「原始的な経済活動」を実践
奥村祥成さん・葉夏さん夫妻と長男・壬詞くん

橋本市出身の奥村祥成さんは、東京大学工学部を卒業後、レシピサイト運営の会社に就職。インドネシアに転勤になり、料理教室に関するビジネスに携わっていました。現地でよく食べていたのが、地元庶民の料理でスパイシーな鶏から揚げのアヤムゴレンでした。

インドネシアで知り合った葉夏さんと日本に戻って結婚。やがてコロナ禍となり、東京で家族と一緒に暮らすことに不安を感じ、和歌山市内の自宅でリモートワークをしようと昨年9月にUターン。ネットではなく地域や人と関わりながら仕事をしている生き方に新鮮な魅力を感じ、新たな事業を起こそうと脱サラ。自身でアヤムゴレンのレシピを研究して屋台で売ろうと考えます。

そこへイベンターから屋台を出してほしいという話が舞い込み、シンプルなスタンスで取り組もうと、「原始的な経済活動 インドネシア風揚げ鶏」という看板を掲げ、ひとつ500円で販売。「次々と売れて、あっという間に売り切れになったのがうれしかったですね」と振り返ります。

屋台を自転車で運搬。「原始的な経済活動ってなに?」とよく聞かれたそう

飛ぶように売れた「アヤムゴレン」が、地域に根ざした活動につながるきっかけに

また「新しい価値観が持てたことと人との出会いが次の事業を始める原動力になりました」と、屋台と並行して新たに映像制作事業「ブルーネ401スタジオ」を始めます。

屋台とは別に映像事業も新たにスタート。「地域活性化の一助になれば」

「現在、妻やフリーの映像カメラマンらと一緒に和歌山で暮らすお年寄りのドキュメンタリー映像や、商店街を盛り上げるためのプロモーション映像を制作中です。屋台も映像事業も、地域と深く関わることが現在につながっています」

「次はいつやるんですか」という問い合わせが殺到した屋台は、今後も継続

店舗 原始的な経済活動 インドネシア風揚げ鶏
Instagram https://www.instagram.com/primitive_economy/?hl=ja
店舗 ブルーネ401スタジオ
電話 080(9565)2731
奥村祥成さんのインタビュー動画はこちらから→(https://youtu.be/81HDBI9XgdA)

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