2024年度県不登校児童生徒数過去最多
わが子が不登校になったら

リビング和歌山2026年1月17日号「2024年度県不登校児童生徒数過去最多 わが子が不登校になったら」

 2024年度の全国の小中学校の不登校児童生徒数は35万3970人。少子化が続く中、不登校の数は12年連続で増加しています。わが子に不登校の兆しが見えたら、どのように向き合えばいいのでしょうか。和歌山県公認心理師協会会長の深谷薫さんに聞きました。

※カウンセリングのイメージ



和歌山県公認心理師協会会長
和歌山県臨床心理士会副会長
深谷 薫さん
【プロフィル】
臨床心理士。公認心理師。和歌山つくし医療福祉センターや和歌山県教育委員会スクールカウンセラースーパーバイザーをはじめ、複数の大学学生相談および医療・福祉・教育分野で、子どもや大人の心理ケアに携わっています

不登校の原因は一つでなく
多様な要素が複雑に絡む

子どものSOSに気付くには。

不登校には多様な背景があり、原因は一つではありません。対人関係や学業不振、学校や家庭の環境、年代特有の疾患など、さまざまな要素が複雑に絡んでいることが多いです。いつもと違う様子を見せたり、腹痛や頭痛を訴えたり、子どもからのSOSのサインも多様。急に学校を休み出す日が続いて初めて気付くケースもあります。

なぜ学校に行けなくなるのでしょうか。

「学校へ行かなくては」という気持ちはあるけれど、心理的負担を抱えていると、心や体が耐え切れなくなることも。無理をして適応しようとすると、体の調整機能がうまく働かなくなり、腹痛や頭痛、強い不安、だるさなども現れがちです。それは怠けているのでも、甘えているのでもありません。子どもは、学校に行かないことで、自分の心と体を守っているように思います。

私は、心理的負担を抱き、葛藤を起こしている子どもたちに、「心と体がうまく反応して、『これ以上は、危険』と伝えてくれているんだね」と言い、そこから心理的ケアを進めていきます。

わが子が不登校で、親自身も心が痛みます。

子ども自身が学校に行けない理由を認識できていなかったり、親を気遣って話さなかったり。すると、親は理由が分からず混乱し、責めたり、原因の特定を急いだりして、子どもをより追い詰めてしまいがちです。

一生懸命に子に接するほど、焦りや孤立、自責、強い不安を感じる親御さんもいます。「あのときこうしていれば」と自分を追い詰め、家族間の不和や離職につながるケースも少なくありません。

親として子どもにどう寄り添えばいいでしょう。

不登校は、子どもと保護者の双方に心理的負担がかかりやすい状態です。保護者の疲弊は、子どもの安心感や心理的安定に影響を及ぼすことも。

けれども、保護者が気持ちのゆとりを取り戻して関わり出すと、子どもは本質的な課題に段階的に向き合い始めます。不登校で抱えた心理的葛藤は、丁寧で適切なケアを受ける中で、心のつらさや迷いはやがて、学びや回復の資源、その後を生き抜く力へと変わっていくことが期待できます。

まずはチェック
「いつもと違う」子どもの様子を気にかけて

会話や行動

□「行ってきます」「ただいま」の声に元気がない
□食欲がない
□表情が暗い
□友人関係に変化があった
□学校での様子を話さない
□ため息をついたり、ぼうっとしたりする
□わがままな振る舞いが目立つ
□成績が下がってきた
□保護者を避けたり、乱暴に振る舞ったりする
□口数が少なくなったり、多くなったりする
□ゲームばかりしている

生活リズム

□朝起きにくく、登校の準備に時間がかかる
□夜遅くまで起きている
□外出が減り、自分の部屋で過ごす時間が増えた
□頭痛や腹痛など身体の不調を口にすることが多い

服装や持ち物・体の様子

□服が汚れたり、破れたりしている
□持ち物が壊れたり、なくなったりする
□けがやあざができている

[参考]和歌山県教育委員会「学校生活や子供の変化など 子供の様子が気になったときの対応~子供を支える保護者のかかわり~」

学校や専門機関に相談 子も親も適切な支援を

一人で背負わず専門家と
悩みを共有して前向きに

親が気持ちにゆとりを持つにはどうすればいいでしょう。

家庭内の悩みにせず、学校や専門機関とつながり、支援や情報を求めましょう。和歌山県は全ての公立小中高校生に関わることができるよう、スクールカウンセラーを配置しています。スクールカウンセラーは臨床心理の専門知識を持ち、児童や生徒、その保護者の相談に無料で対応。学校と悩みを共有し、解決法を保護者と一緒に考えます。

登校が難しい場合は、各地域の教育委員会が設置する「教育支援センター」を活用できます。子どもの状況に合わせた学習サポートや相談が受けられるなど、今はさまざまな公的機関が支援に取り組んでいます。

医療機関の診療が必要な場合はありますか。

状況によっては、学校との取り組みに加えて医療機関の診療が必要なときも。まずはかかりつけの小児科で相談を。思春期に発生することが多い心身の不調が隠れている場合もあります。児童精神科などの専門医を紹介されることも。医療機関によっては臨床心理士と連携した心理療法もあります。

不登校の中には、発達障害を抱える子や、精神疾患を発症する前段階の子もいます。和歌山県発達障害者支援センターで必要な支援の相談が受けられます。

不登校に悩む親へメッセージを。

子どもたちは不登校を選ぶことで、自分を守っているケースも。親御さんも一人で背負わずに、学校の先生や専門家、医師、心理士、支援機関と連携し、悩みを共有してみませんか。専門家がチームとして関わると、多角的に見通しが立ちやすくなると思います。

相談のプロセス

和歌山県の不登校の現状

和歌山県教育委員会のまとめによると、県内の公立学校における2024年度の不登校児童生徒数は、前年度より72人増え、3017人と過去最多となりました(「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」より)。内訳は、小学校は42人増の959人、中学校は46人増の1401人、高等学校は16人減の657人です。

小中学校での増加について、県教委はコロナ禍以降、保護者や児童生徒の登校に対する意識の変化があるとみています。また、「学校生活に対してやる気が出ない」「親子の関わり方」「生活リズムの不調」などの要因も挙がっています。

一方、高校の不登校生徒数の減少に関しては、「個々の生徒に応じた学習支援の充実」「スクールカウンセラー等の活用」が要因に挙げられていました。

県教委は対応マニュアルの活用、不登校に特化した管理職への研修、スクールカウンセラーや不登校児童生徒支援員の配置など、不登校対応に取り組んでいます。

心理的な問題や生活・学習上の困難に対応

県教育委員会
教育相談電話
073(422)7000 
午前9時~12時、午後1時~5時
※土・日曜、祝日と年末年始を除く
こどもSOSダイヤル 073(422)9961  
24時間対応

発達障害について

県発達障害者支援センター
ポラリス
<電話相談>
073(413)3200
午前10時~12時、午後1時~4時
※水曜午前、土・日曜、祝日と盆・年末年始を除く

おおむね15歳からの若者の悩みに寄り添う

若者サポートステーション
With You わかやま
073(428)0874 
午前10時~午後5時
※土・日曜、祝日と盆・年末年始を除く
メール相談はhttps://with-you-wakayama.jp/から
With You きのかわ 0736(32)0874 
午前10時~午後5時
※土・日曜、祝日と盆・年末年始を除く
メール相談はhttps://with-you-wakayama.jp/から

子育てについて

和歌山県
中央児童相談所
<来所相談>
073(445)5312
午前9時~午後5時45分
※土・日曜、祝日と年末年始を除く

<電話相談>
0120(189)783
24時間対応

教育支援センター

※開室時間は 問い合わせを

【和歌山市】
和歌山市立子ども支援センター
ふれあい教室
073(402)7830
【海南市】
ハッピープレイス“ひなた”
(海南保健福祉センター内)
073(483)8722
【岩出市】
岩出市教育支援センター
フレンド
(岩出市立駅前ライブラリー内)
0736(62)0892

小児科医や公認心理師が対応

小児成育医療支援室
(県立医科大学内)
073(441)0808
午前9時~午後5時
※土・日曜、祝日と年末年始を除く
https://www.childsupport-wakayama.org/

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