考えよう 災害時の備え 被災地での体験、経験を生かして③

アンタリクチャ・イン・ヤン・ヨーガ主宰 松村 暢子さん

悔いのない生き方と困難に耐えられる体力を

ネパール人の強さは思いやり
自立できるように支えるのが支援

〈プロフィル〉ネパールで日本語講師をしていた経験があり、フェアトレードを通じて支援しています

地震被害に見舞われているのは、日本だけではありません。2015年、ネパールで大地震が発生。建物の倒壊、雪崩、土砂災害など甚大な被害を受けました。

「すぐにでも駆けつけたかったのですが、震災直後に必要とされるのは国際緊急援助の力で、一個人が行っても邪魔になるだけ。1カ月半たってから現地に行きました」と話すのは、約20年前に訪れたネパールに魅せられ、同国の診療所で行われている「自力整体ヨガ」の教室を和歌山市で主宰する松村暢子さん。以来、年に2度のペースで、現地に足を運び、ものづくりを指導しながら、縫製品・シルバー製品などのフェアトレードを通じて、支援活動を続けています。

もともと窓ガラスのない家で生活している人やストリートチルドレンがいる国。「震災前も後も、“まちの見た目”はあまり変わりませんでした。でも、道路が寸断され、水牛に荷物を引かせて山村に物資を届けるといった状況でした」と当時を振り返り、こう続けます。「規律正しいネパール人は、震災が起こっても取り乱すことはありませんでした」と。

阪神淡路大震災、東日本大震災の日本の様子を見て、助け合い、ルールを守る日本人はすばらしいと感じていたネパール人から、「津波被害がない分、まだ自分たちは恵まれているといった声を聞き、うれしい半面、日本人の実情はそんなに立派ではないと恥ずかしくって…」と苦笑します。

一方、松村さんは、決して裕福とはいえない環境で暮らすネパールの人々と接するようになって、「なぜこの人たちはこれほど強いのか」と思ったそう。「その強さとは思いやり。例えば、日本の親は過保護になりすぎ。できるまで黙って子どもを見守るのが本来の親の姿であり、そうやって、子どもたちは“限界”を知り、少しずつレベルアップしていくのではないでしょうか。支援も同じ。机上の空論でも押し付けでもなく、自立できるように支えていくのが支援」と強調します。

「私がネパールで得たもの、それは人生観」という松村さんの災害に対する心がけは、「もし、死んでしまっても悔いが残らないような生き方をしたい。生き残った場合も、さまざまな困難な状況に耐えられるだけの体力を備えておくこと」ときっぱり。「それに気付かせてくれたネパールに恩返しがしたい」という松村さんの今の思いは、「旅行するだけで“被災地支援”に。すてきな国なのでぜひ」と呼びかけます。

地震発生から1年後のネパールで撮影。家や家族を失っても、“強く”生きています

松村暢子さんが伝えたい災害時の備え

  • もし死んでしまっても、悔いが残らないように今を生きる
  • 被災した際、困難な状況に耐えられる体力を備えておくこと
  • 取り乱さず、冷静な判断を

コーナー

関連キーワード

 

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

おすすめ記事

  1. リビング和歌山2025年11月22日号「昨年よりさらに進化!冬の街を彩る130万の光 KEYAKI Light Parade」
     今年も、けやき大通りがキラキラとした光と笑顔に包まれる季節がやってきます。今年で3年目となる冬の…
  2. リビング和歌山2025年11月15日号「和歌山県の手仕事を訪ねて丈夫で温かみのある風合い手すき和紙の伝統をつなぐ」
     書や工芸、日用品など、暮らしの中で、広く親しまれてきた「和紙」。植物・コウゾと、その繊維を均一に…
  3. リビング和歌山2025年11月8日号「「もしもノート」を活用して 始めてみよう“人生会議”」
     11月30日は、「人生会議の日」。厚生労働省により定められたものですが、“人生会議”って何? 今…
  4. リビング和歌山2025年11月1日号「深まる秋 お出かけも夜長も カフェでわたし時間」
     ぐっと気温が下がり、秋が一気に深まりました。山々が色づき始め、そろそろ届く紅葉の便りにお出かけ気…
  5. リビング和歌山2025年10月25日号「話題を呼ぶNew Spot 県内初! 「ハンズ」オープン」
     10月15日、近鉄百貨店和歌山店に和歌山県初の「ハンズ」がオープン。さっそく話題を集めています。…
リビングカルチャー倶楽部
夢いっぱい保育園

お知らせ

  1. 2025/11/20

    2025年11月22日号
  2. 2025/11/13

    2025年11月15日号
  3. 2025/11/6

    2025年11月8日号
  4. 2025/10/30

    2025年11月1日号
  5. 2025/10/23

    2025年10月25日号
一覧

アーカイブ一覧

ページ上部へ戻る