おとうさんの庭

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仕事選びにヒントを与え、
生きる覚悟を伝える父親

「ふつうの家の子がよかった」と息子が言うのです。遊びに来る友達に、「どうしてお父さんがいつも家にいるの?」と聞かれるのが嫌でしかたがないのだと。

共に自由業のわが家は「父親が毎日会社へ行き、母親が家事をする」という家族モデルとはかけ離れていました。取材や出張で出て行くのはもっぱら私、亭主は終日、自宅のアトリエで黙々と木を彫っているのですから。幼稚園への送り迎えもスーパーへの買い物も、メーンは亭主。「できる方がすればいい」と稼ぎも家事も子育ても分け合ってやってきました。

しかしながら、父親と母親の役割はそれぞれが担いました。父親的なものの見方はやはり亭主にしかできないことでした。

『おとうさんの庭』(出版=岩波書店、ポール・フライシュマン/文、バグラム・イバトゥリーン/絵、藤本朝巳/訳)は、父親の理想の姿が描かれた絵本だと思います。

アメリカの開拓時代、農夫と3人の息子は歌いながら楽しく仕事に励んでいましたが、何週間も日照りが続き、家畜も畑も失ってしまいます。

「今はもう分けてやる土地もない。そこで大事なことを言っておく。大きくなったらよく考えて仕事を選びなさい。自分で生きていかなければならないのだから」と農夫は息子たちに伝えます。そして、失意の中でも庭の生け垣を刈り込むことで新たな希望を見つけていきます。

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3人が成長し、それぞれに仕事を考え始めた時には、「しっかり見なさい。よく観察することだ。生け垣はお前に答えをくれる」と息子たちの心の中にある答えを示唆し、「御者」「船乗り」「バイオリン弾き」の仕事を導き出させ、「その仕事はおまえに向いているのか」と改めて問うことで、「だいじょうぶ。父さん、だいじょうぶです」と答えさせるのです。

昨年度の課題図書『マッチ箱日記』と、作者も画家も同じ人だと知って驚きました。2冊の本の完成度の高いこと!

名前なりきよ ようこ
プロフィル絵本編集者として勤務後、渡欧。帰国後フリーに。保育所や小学校で読み聞かせを25年以上続けている。絵本creation(編集プロダクション)代表

子育て・教育

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