口から始まる健康づくりvol.93
人生100年時代 口腔環境と健康寿命の深い関係
- 2025/12/25
- みんなの健康
- 歯医者さんに聞きました!(口から始まる健康づくり)
歯の本数が転倒リスクを高める!?
「噛めること」は健康の土台

人生100年時代を迎えた今、単に寿命を延ばすだけでなく「健康で自立した時間=健康寿命」をいかに伸ばすかが注目されています。その鍵のひとつが、実は「口の健康」だということを知っていますか。
近年の研究では、歯の本数と転倒リスクに関連があることが分かってきました。65歳以上の高齢者を対象にした追跡調査では、残っている歯が19本以下で義歯を使用していない人は、20本以上の人に比べて転倒のリスクが2・5倍も高いことが報告されています。一方、義歯を使用している人のリスクは1・36倍に抑えられており、歯の本数が、バランス機能や身体の安定性に大きく関与していることが分かります。
人間は頭部が重く上半身に重心があるため、平衡感覚を保つにはあごや咀嚼筋(そしゃくきん)、歯根膜からの神経刺激が重要です。歯を失った状態や義歯を使っていない状態では、こうした神経刺激が減少し、姿勢が不安定になり、転倒リスクが高まると考えられています。
また、歯の本数だけでなく、口腔環境も全身の健康状態に深く関係しています。中でも「歯周病」は、口の中の疾患だけにとどまらず、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患と関連があるとされています。歯周病菌が歯ぐきから血管内に侵入すると、炎症性物質が全身に広がり、血管内にプラーク(脂肪の塊)を形成したり、血栓を引き起こしたりする要因に。さらに、誤嚥(ごえん)によって歯周病菌が肺に入ると、高齢者の死亡要因の一つとされている誤嚥性肺炎の原因にもなります。
これらのことからも、口腔ケアは「虫歯を防ぐ」だけでなく、「命にかかわる疾患のリスクを下げる」ために重要な役割を果たしているのです。歯を守るためにまず大切なのは、日々の口腔ケアと定期的な歯科検診。早期発見・早期治療によって、歯の喪失や歯周病の進行を食い止めることができ、全身の健康維持にもつながります。
歯を失ってしまった場合でも、あきらめる必要はありません。近年では、インプラント治療という選択肢があります。これは人工の歯根をあごの骨に埋め込んで固定する方法で、見た目が自然でしっかり噛(か)めることが特徴です。入れ歯のようなずれや違和感が少なく、天然歯に近い感覚で食事や会話ができる治療法として、多くの人に選ばれています。
信頼できる歯科クリニックで定期的に検診を受けながら、日々のケアを大切にし、健康でいきいきとした毎日を目指しましょう。
(川崎豪彦)
| 店舗名 | かわさきデンタルクリニック |
|---|---|
| 電話番号 | 073-488-5489 |
| Webサイト | https://www.kawasakidentalclinic.com/ |
| 住所 | 〒640-8451 和歌山市中573-19-403 ふじと台ステーションビル エスタシオン EAST 4階 |
| 営業時間(診療時間) | 9:30~13:00、14:30~19:00 火曜日は9:30~15:00 金曜日・土曜日は18:00まで |
| 定休日(休診日) | 日曜・祝日 |
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