治療の最前線! 専門医に聞くvol.36
中高年の男性に多いそけいヘルニア
痛みがなくても放置せず相談を

 〝脱腸〟とも呼ばれる「そけいヘルニア」。足の付け根にある筋肉のすき間から腸などの臓器が飛び出す病気です。国内ではそけいヘルニアで手術を受ける人の約85%が男性とされ、特に中高年に多くみられます。

典型的な症状は、立つと足の付け根が膨らみ、仰向けに寝たり手で押し込んだりすると、その膨らみが元に戻ることです。肥満や立ち仕事などでおなかに圧がかかる状態が続くことが要因とされ、加齢による筋力の低下も関係します。中には痛みがなく受診しない人もいますが、放置すると膨らみが大きくなって痛みが生じ、陰のうまで広がると排尿障害につながることもあります。

特に注意したいのが、腸がはまり込んで戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」。発症すると強い痛みや吐き気を伴い、腸閉塞(へいそく)を引き起し、腸が壊死(えし)する恐れがあります。時には、緊急手術が必要となって腸管を切除することも。嵌頓は膨らみの大きさに関係なく起こります。

成人のそけいヘルニアは、〝腹腔鏡下手術〟や〝そけい部切開法〟による外科的治療が基本。腹腔鏡下手術は傷が小さく回復が早い一方、全身麻酔が可能であることなど条件があります。体の状態や持病などを踏まえて、どちらの手術にするかを医師と相談して決めます。

嵌頓を起こして緊急手術になった場合は治療期間が長くなる他、再発率が高くなるとされています。症状が軽いうちに計画的な治療を受けることが大切です。気になる症状がある人は、放置せず早めに医療機関を受診し、医師へ相談を。
(済生会和歌山病院 外科・上田勝也)

上田勝也医師

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