考えよう 災害時の備え 被災地での体験、経験を生かして⑦

和歌山市消防局消防副局長 山下 直樹さん

タンスに挟まれたシチュエーションを想定して

緊急消防応援隊で県隊を陣頭指揮

〈プロフィル〉救助隊、消防司令長、消防総務課長などを経て、2017年4月から現職

2011年3月11日に発生した東日本大震災。被災地から「緊急消防援助隊」の要請を受け、和歌山県も、県内17消防本部が連携して和歌山県隊を派遣。和歌山市消防局の山下直樹副局長は、2次派遣隊の陣頭指揮を執りました。

「1次隊は106人、2次隊には113人が参加。消防職員は、人命救助に熱き思いを抱いている人が多く、自発的に名乗り出てくれる人が多いですね。しかし、われわれは地域の安全と安心も確保しなければいけません。歯がゆい思いをした職員もいっぱいたはず」と話します。

和歌山県隊は宮城県石巻市と女川町で人命救助、火災および救急活動に当たりました。「女川町に着いたときは、そこにあったものが何もかも流された状態で、改めて津波の脅威に驚かされました。私たちは、結局生存者を見つけることができず、ご遺体を警察や自衛隊に引き渡しました」と山下さん。救助隊での経験が長い山下さんにとって、それが何よりも悔しかったそう。「本当にこれで良かったのかと自問自答する中、現地の方から、感謝の手紙をいただいたことが、支えになりました」と言います。

職業柄、防災意識の高い山下さんですが、被災地に行ってまず思ったことが、履物の備え。「足をケガしてしまっては避難はできません。それと、やはり救援物資が届くまでの水と食料の備蓄、あと食べると絶対に排せつするので、これは行政の意識にもなりますが、トイレのことですね」と。

「自分がタンスに挟まれた状態をイメージしてみてください。居場所を知らせるホイッスルとライト、携帯電話は近くに置いておきたいですよね。また、いつどこで災害に遭うかわかりません。最終的に家族と合流する場所を決めておきましょう」と喚起します。

東日本大震災直後の宮城県女川町。この援助隊の経験が、同じ年に起こった紀伊半島大水害に生かされ、その後、さらによりよい体制が整えられています

山下直樹さんが伝えたい災害時の備え

  • 玄関以外にも履物を。足をケガしては逃げられません
  • 水と食料の備蓄は絶対に
  • 自分がタンスに挟まれたイメージをして、何が必要かを考えて

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