9月は「がん征圧月間」。がんの初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的にがん検診を受けて早期発見につなげることが重要です。今号は、がんの中でも罹(り)患率が高いとされる胃がんについて、和歌山県立医科大学外科学第2講座で話を聞きました。

定期的に胃カメラやバリウム検査を
生涯で2人に1人が、がんにかかるといわれる現代。和歌山県は、がんによる死亡率が全国平均より高く、身近な病気の一つになっています。中でも、消化器系のがんが全体の約50%を占め、胃がんは男性で2番目、女性で3番目に多いとされています(参考=国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」)。
「がんの治療は大きく進歩し、早期であれば治る病気になってきています。大切なのは〝早く見つけること〟〝適切な治療を受けること〟です」と話すのは、和歌山県立医科大学外科学第2講座の早田啓治医師(写真)。
胃がんの症状は、腹痛や吐き気、食欲不振、体重減少など。初期にはほとんど自覚症状がなく、異変を感じたときには、すでに進行しているケースも。「だからこそ、症状がないうちに検診を受けることが重要です。2年に1度は胃カメラかバリウム検査を受けるようにしましょう」と伝えます。
リスク要因として、喫煙や塩分の多い食事などがありますが、大きな原因とされるのは、ヘリコバクター・ピロリ菌。成人後の感染はほとんどなく、多くは5歳ごろまでに感染。保菌者が85歳までに胃がんになる確率は、男性約17%、女性約8%と報告されています。
ピロリ菌の治療は除菌。1週間の服薬が基本で、2回目まで健康保険が適用されます。早田医師は、「衛生環境の改善により、国内の保菌者は減少。除菌治療の普及もあり、胃がんは少しずつ減少してきています。現代の40代以上の人は、世代が高くなるほどピロリ菌の感染率が高くなる傾向があります。胃カメラの際、ピロリ菌の検査も一緒にすることをおすすめします」と言います。
2022年の国民生活基礎調査によると、和歌山県の胃がん検診受診率は47・5%。全国平均の48・4%を下回っており、早期発見・治療につなげるためにも検診の受診が求められます。

個々に合わせ、治療の選択肢広がる
がんの診断は、胃カメラや病理検査でがんの有無、CT(コンピューター断層撮影)で、広がりや転移を確認。がんの深さやリンパ節・他の臓器への転移などから、進行度のステージ(1~4段階)を判断します。
胃の内側の粘膜だけにとどまる早期がんであれば、胃カメラによる内視鏡治療でがんを切除します。リンパ節への転移が疑われる場合は、がんの病巣とともに周囲のリンパ節を切除する手術が行われます。一方、他の臓器への遠隔転移が認められると、手術だけで治すことが難しいため、抗がん剤に加え、分子標的薬や免疫療法などの薬物療法が中心となります。
近年の胃がんの手術では、傷が小さく体への負担が少ない腹腔(くう)鏡が普及。同大学附属病院は、医師が専用の操縦席で3D画像を見ながら、ロボットアームを操作するロボット支援下手術が標準となり、これまでに500以上の手術を実施。「最新の手術支援ロボットを導入することで、より精密で体への負担を抑えた手術に取り組んでいます」と言います。
一人一人のがんの特徴や進行度を調べ、結果に応じて治療法を選ぶ時代。手術技能の進歩や新薬の登場など治療法の選択肢は広がっています。
早田医師は、「できるだけ臓器やその機能を温存する方法を考えます。薬物療法でがんが小さくなれば、手術が可能になったり、切除範囲を小さくできたりすることもあります。一つの方法だけでなく、複数の方法を組み合わせることもあります。進行しているからといって諦めないことが大切です」と話します。
この機会に改めて胃の健康を見直してみては。
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