子どもの未来を育む
“わかやま給食” もっと地元の食材を

子どものころ誰しもお世話になった学校給食。懐かしくもあり、ちょっぴり苦い思い出という人もいると思いますが、最近の子どもたちはどのような給食を食べているのでしょうか。イマドキの学校給食事情を探ってみました。

戦後に普及した学校給食の役割は
栄養補給から“食育”へ発展

「ジビエカレー」「熊野なまずのかば焼き」「タチウオの南蛮漬け」…。メイン食材は和歌山県産で主食、副菜、牛乳がついて1食当たり250~286円(文部科学省2018年学校給食費調査から算出)。これらは県内の公立小・中学校で実際に提供された給食メニューです。

学校給食の始まりは、明治時代までさかのぼります。しかし、主食とおかず、牛乳がそろった「完全給食」が全国で実施されるようになったのは戦後のこと。1954年、戦後の食糧難の真っただ中に、児童・生徒の栄養補給を主目的とした「学校給食法」が施行。脱脂粉乳から牛乳、コッペパンから揚げパン、さらにはソフト麺、白米…と時代とともにその内容は、質・量ともに変化を遂げ今日に至ります。一方、「学校給食法」の施行から半世紀以上の時を経て、日本人の食生活は豊かになった反面、ここにきて、不規則な食事や栄養の偏り、運動不足による肥満など新たな問題も生じてきています。

そうした中、05年に「食育基本法」が制定、08年には「学校給食法」も大幅改正され、昨今の学校給食には、栄養バランスに加え、食育など教育的役割も期待されています。

和歌山県の学校給食事情と取り組み

県の学校給食普及率はほぼ平均値
地場産品使用率は27.7%から40%へ

文部科学省の「学校給食実施状況等調査」によると、2018年度の和歌山県の公立小学校の学校給食実施率(完全給食)は99.6%(全国平均99.6%)。公立中学校は91.7%(同93.2%)。中学校は和歌山市が、選択制のデリバリー方式を採用しているため、生徒数でみると実施率は65.8%(同85.3%)に。また、「学校給食栄養報告」によると、18年度の全国学校給食における国産食材の使用割合は76%、食育の観点から積極的な活用が推奨されている地場産物の使用割合は26%です。

県では、地場産物の使用割合を27.7%から21年度までに40%にすることを目標に、教育委員会と農林水産部が連携して、「学校給食での和歌山産品利用拡大戦略アクションプログラム」に取り組んでいます。広川町、すさみ町、新宮市、太地町では、学校給食関係者、流通業者、生産者らで組織する協議会が発足。地場産品を計画的に作る・売る・買うシステムが整いつつあります。さらに、12年度から県が買い上げて学校に無償提供してきたウメ、モモ、カキ、ミカン、魚に加え、17年度にはクジラとジビエを追加。「クジラの竜田揚げ」「ジビエソーセージ」が給食に登場しています。

学校給食用物資を供給する団体「和歌山県学校給食会」でも、生産者・食品加工会社と学校の間に入り、地場産物の利用を推進。「今年度は、農家の協力で県産小麦100%の給食パンを試験的に提供できました」と事務局長の滝本修さん。県産加工品の掘り起こしや商品開発にも積極的で、「今は精肉業者とジビエコロッケを開発中」だそう。

子どもも大人も給食に目を向けて
「わかやま給食グランプリ」を開催

「学校給食の普及率は“100%が当たり前”にならなければいけないし、地場産物の使用割合もまだまだ高められるはず。そうすれば県内の経済ももっと活性化します」と話すのは、水産加工品などを保育園や学校に納品したり、「きいちゃん食堂」など飲食店を展開する「フーズファイル」(和歌山市築港)の専務・河村誠さん。同社は、「学校給食率の増加」と「学校給食における地場産品を使用する割合の増加」を提唱。その活動を“わかやま給食”と名付け、取り組んでいます。

その第1弾として、「まずは多くの人に給食に目を向けてもらうことから」と、「みんなで考えよう! 『わかやま給食』グランプリ」を開催。肉、魚、野菜、果実、調味料など県産品を使ったオリジナルの給食メニューを募集したところ、小学生からシニアまで100を超える応募があり、今年1月に審査会が行われました。

グランプリ「子供が喜ぶホットドッグセット」(田辺市の小学生まなゆな食堂)

グランプリの「子供が喜ぶホットドッグセット」は、コロナ禍でお母さんに代わって夕食作りを始めた小学生の女の子が友達同士で考案したメニュー。「鶏ミンチに金山寺みそ、カレー粉という組み合わせとパンに挟むというアイデアが斬新で、実際に給食にできそうな点も評価が高かった」と河村さん。さらに、「ある小学校では授業でメニューを考え、それが給食で提供されたという事例も聞いています。私たちの思いがさらに広がれば」と21年度も開催予定。入賞メニューのレシピはウェブサイトなどで順次公開し、学校関係者らに呼びかけ、わかやま給食の実現を目指します。

準グランプリ「揚げ物でもさっぱり!! マグロ竜田揚げうどん」(和歌山市の小学生)

学校給食会賞「和歌山産アカモクのさつま揚げと大根の煮物&鶏肉となすの梅照焼&青みかんのプルプルゼリー」(和歌山市の信愛大学生)

グランプリのホットドッグが食べられるよ!
きいちゃん食堂で販売中

「わかやま給食グランプリ」でグランプリに輝いた「子供が喜ぶホットドッグ」を3月31日(水)まで、和歌山県庁北別館1階の「きいちゃん食堂」で販売。ホットドッグ単品をテークアウト商品として毎日数量限定で提供しています(250円)。

問い合わせ きいちゃん食堂
住所 和歌山市小松原通1-1県庁北別館1階
電話番号 073(488)3660
営業時間 午前11時~午後2時
休日 土・日曜、祝日
駐車場 あり

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