vol.3 自然界で「もったいない」は当たり前

「カエルって、脱皮するんですよ」と言うと、「えっ、ヘビじゃなくて?」と驚かれることがあります。実はカエルも、古くなった皮膚を定期的に脱ぎ替えています。

しかも、もっと驚くのは、その脱いだ皮を自分で食べてしまうこと。「なんでそんなことを?」と思いますよね。

理由は大きく二つ。一つは、栄養を無駄にしないため。皮にはたんぱく質などの栄養が含まれているので、もう一度自分の体の一部として利用することができます。もう一つは、脱皮した痕跡を残さないため。抜け殻があると、「ここにカエルがいますよ」と外敵のヘビや鳥に知らせてしまうことになるからです。

よくできていると思いませんか。自然界には、「いらなくなったから捨てる」という発想が、あまりありません。他の生き物に食べられたり、分解されて新たな栄養となったり、別の命を支えながら巡っていきます。

私たち女性狩猟会里山アップサイクルも、そんな自然の知恵に学びながら活動しています。捕獲した命は、食としていただき、皮は革小物へ。放っておくと根が広がり他の植物の成長の妨げになる竹も、ただの厄介者ではなく、竹飯ごうや遊び道具へと姿を変えていきます。「もったいない」という言葉がありますが、自然界では当たり前のことなのかもしれません。

梅雨の季節、田んぼや水辺から聞こえてくるカエルの声。夜は大合唱しているのに、昼間は鳥や外敵に食べられないように 葉の陰に隠れていたり、水の中に身を潜めていたり、上手に気配を消しています。

田んぼのあぜ道をゆっくり歩いてみると、カエルだけではなく、アメンボやカメ、水の中を泳ぐ小さな生き物など、たくさんの命が暮らしていることに気付きます。カエルを見かけたら、「脱皮した服まで食べちゃうんだよ」と、ちょっと誰かに話したくなるかもしれませんね。私たちの身近に暮らす野生の生き物は、知るほどに面白くて、いとおしいものです。
(里山アップサイクル代表・溝部名緒子)

水田でカエルの姿を探す溝部さん


著者女性狩猟会・里山アップサイクル代表
溝部 名緒子さん
プロフィール全狩猟免許を取得。サバイバル体験施設「ハンターズイン」のガイドを務める他、さまざまな体験活動を展開中

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