まだあまり聞きなじみがありませんが、筋肉量が低下する「サルコペニア」。どのような状態のことをいい、何に気を付ければよいのか、和歌山ろうさい病院の健康診断部長・若﨑久生さんに話を聞きました。
筋肉は歳を重ねても増やすことが可能
“つまずきやすい”“ペットボトルのふたが開けにくい”“青信号の間に横断歩道を渡り切れない”など、思い当たることは? 加齢や病気などで筋肉量が減り、身体活動能力が低下する状態を「サルコペニア」といいます。糖尿病や高血圧などの生活習慣病ではサルコペニアを引き起こすリスクが高まります。また、糖尿病の人は筋肉が減少することで血糖値が下がりにくくなる場合があります。
サルコペニアは、一般的に高齢者に多いとされていますが、和歌山ろうさい病院の健康診断部長・若﨑久生さん(写真)は「筋肉は鍛えないと衰えてくるため、運動不足や栄養不良、病気などが要因となり、若い世代でも見られることがあります。また、一見太っていても、筋肉量が少ない『サルコペニア肥満』の人もいます」と話します。
サルコペニアかどうかは、医療機関で筋肉量を測定することで確認できます。受診前に自分でチェックする方法としては、①ふくらはぎの一番太い部分を両手親指と人差し指でつくった輪で囲み、隙き間ができる ②いすの立ち・座り(繰り返し5回)に12秒以上かかる、などがあります。若﨑さんは「予防や改善には、筋力トレーニング(運動)とバランスの良い食事が大事。筋肉は歳を重ねても増やすことができます」と伝えます。
運動は、スクワットやダンベル運動のような筋肉に負荷をかける動きを生活の中に取り入れるのがおすすめ(高齢者が無理に運動するとひざや心臓に負担が掛かるので注意)。食事は、主食・主菜・副菜をバランスよく食べることを意識するのがポイントです。若﨑さんは「食事に関しては、たんぱく質をしっかりと取るようにしてください。目安は体重1kgあたり1.
2g。ただし、腎機能が低下している人は医師と相談を。合わせて、骨をつくる栄養素、カルシウムとビタミンDが豊富なものを上手に選んでください」とアドバイスします。
今一度、自分の生活習慣を見直し、不安があれば医療機関で相談を。
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