夏本番を迎え、汗ばむ日が続くこの季節。皮膚トラブルで医療機関を受診する人が増えてきています。夏に起こりやすい皮膚トラブルについて、海南医療センター皮膚科で話を聞きました。

悪化する前に皮膚科専門医に相談
人間の皮膚は、人体最大の臓器といわれ、個人差はあるものの、その面積は成人で約1・6平方メートル、重さは体重の約16%を占めています。体温調整機能や免疫機能、紫外線の侵入を防ぐバリア機能をはじめ、触感・温感といった感覚器官の働きなど、生命を維持するためのさまざまな役割を担っています。
「一年の中でも夏は高温多湿や強い紫外線の影響で肌の抵抗力が低下し、さまざまな皮膚トラブルや、もともとある皮膚疾患が悪化しやすくなります」と話すのは、海南医療センター皮膚科部長で、和歌山県立医科大学皮膚科臨床教授の貴志知生医師(写真)。
汗がきっかけで起こる夏特有の皮膚疾患が「あせも」。子どもがなりやすいと考えられがちですが、大人でも悩まされる人が少なくありません。小さな水疱(すいほう)や赤みが首、わきの下、背中、ベルトやゴムの締め付け部分などに現れ、かゆみを伴うこともあります。
あせもの原因は汗の通り道である汗管の詰まり。「汗は皮膚のエクリン汗腺でつくられ、汗管を通って皮膚の表面に排出されます。しかし、ほこりや汚れが汗管に詰まると、汗が皮膚の中にたまり、汗孔に透明な水ぶくれのようなあせもができます」と説明します(下記図)。かゆみが増してかきむしったりすると、炎症が周囲に広がって悪化し、湿疹へと進行することもあるので注意が必要。症状に応じて、ステロイド外用薬などで治療します。

皮膚の断面
予防・改善には、シャワーや入浴で汗や汚れを流し、皮膚を清潔にしましょう。入浴が難しい場合は、ぬらして固く絞ったタオルや汗拭きシートなどで肌を押さえるように、やさしく汗を拭き取ります。
湿疹と見分けがつきにくいのが「とびひ」。湿疹は皮膚の炎症である一方、とびひは「伝染性膿痂疹(のうかしん)」とも呼ばれる細菌感染症です。湿疹や虫刺されなどをかきむしった傷口から細菌が入り込み、水疱や擦りむいたような傷、赤み、かさぶたが混在して現れます。
接触によって感染し、傷とは別の部分に飛ぶように広がるのが特徴。「まずは皮膚を清潔に保ち、傷をかきむしらないことが大切です。治療には抗菌薬を使用します。放置すると症状が広がることがあるので、早めの治療を心掛けてください」と伝えます。
他にも夏は、虫刺されや水虫など、さまざまな皮膚トラブルが起こりやすい季節(下記参照)。貴志医師は「皮膚疾患は見た目が似ているものも多く、自己判断では原因を見極めることが難しいことがあります。市販薬で改善しない場合や症状が悪化する場合は、皮膚科専門医のいる医療機関を受診することをおすすめです」と話しています。
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